神仏
　いろいろな事がありましたが、はっきりここに書くことができませんので、 私の心境を俳句に託します。

○鎮静な心求めて春の山

○神仏の裁きあります春嵐

戦争
　だれでも戦争を好む人はいないが、戦争で何人も人を殺しても死刑にはなら ない。だから残酷でもあり矛盾点がたくさんあると思う。私は靖国神社のそばで 育ち近衛連隊の兵隊さんたちが家の前を毎日行進しているのを見ておりました。 真夏日の日上官は馬に乗り部下の兵隊さんを連れて行進しておりました。私の家 の前で突然一人の兵隊さんが気を失い倒れてしまいました。二、三人の戦友が近 くの井戸からバケツで水を運びその兵隊さんに目掛けて水を掛けたところ、その 兵隊さんが目を覚ましたが、その兵隊さんに向かって上官が往復ビンタをし、ま た行進していった光景を目の当たりにし私は自分が気を失ったようにただ呆然と その場に立ち尽くしたことを、今でもまざまざと覚えております。
私の兄は旧制中学を卒業と同時に４月生まれのため最年少で軍隊に駆り出され １年間内地におりました。とても考えられないことがありました。敗戦の３ヶ月 ぐらい前、兄は実家から５分ぐらいのところに駐屯し、いまは教会（キリスト系 ）になっております。兄はどのような気持ちで家の前を行進していたかと思うと なんとも言えない気持ちになりました。その当時のことを兄に聞いたところ家族 と一緒に死ねるなら本望だと言っておりました。本土上陸もなく戦争は終わり、 兄も大学へと進学しました。でも、多くの方々が尊い人命を失ったかと思うと本 当に残念な思いです。国のため戦った方々の霊を心から慰めたいと思い（自分の 意思で戦争に行ったのではなく駆り出されたのですから）お盆には靖国神社、千 鳥ヶ淵六角堂には必ずお参りに行くことにしております。

靖国神社を、参拝するのはとかく問題があるのではないかと耳にしますが、私 の生まれたところが海軍会館の隣の産婦人科医院でした。だから、幼児のころか ら海軍さんや兵隊さんをたくさん見ておりました。兵隊さんたちが暑い最中汗び っしょりになりながら鉄砲を担ぎ息も荒く行進しているのをみて本当に可哀想に 思えてならなかったのです。父は家族だけには日本の偉い人は東南アジアや中国 ・朝鮮の人たちに本当にひどいことをしているとは言ってはいましたが、公に言 うと憲兵隊に連れていかれるので分かっていても口を閉じるしかなかったようで す。
靖国神社の例大祭にはいまはありませんが戦後しばらく特攻隊で亡くなられた 隊員の遺書が張り出されておりました。長姉はいつもそれを読んでは泣いており ました。自分と同じぐらいの年齢の方だったと思います。
私個人の考えですがほとんどの方が徴集令状で戦場へと駆り出された人が多かったのではないかと思います。だから私は参拝したく思っております。