２．
　友人のご主人が大学病院で九ヶ月の闘病生活の末暮れの十二月二十九日に亡 くなりました。大学病院の地下室に安置された遺体は深夜大勢の人達に囲まれて いました。地下室という場所柄何とも言えない冷え冷えとして寒々しく震えてい た自分を今でも脳裏に、残っております。我が家でもお正月どころではありません でした。
　お正月が来ると家族で迎えることができることは、どんなに幸せであるか感謝 しております。
　若くして未亡人になり再婚せずに、友人はお子様を立派に育て上げ、何不自由な く暮らすことができるようになりましたが、今年になって病気になり現在入院し ております。
　私は友人を支えたつもりでおりましたが、友人が入院して初めて分かったこと ですが、むしろ私が友人に支えられていたのではないかと、今感じております。私 は今とても寂しい思いで
一杯です。
　友人は私に言いました「私は死ぬことは怖くないのよ。あの世で主人に会う ことが出来るから」私はその言葉を聞き声を失いました。ご主人を亡くしてから 何十年も経ってる、今まだご主人を愛し慕っていた、友人の心情を思い涙を隠すのに 苦労しました。
　素晴らしい夫婦愛を垣間見ることが悲しいかな出来ました。

１．外科医有森冴子�U「告知」

　以前から井沢満脚本家、三田佳子女優さんのファンでした。
　名脚本家井沢満、名女優三田佳子、二人のコンビは離すことはできないし
一人欠けても、ドラマが成立しないのではないかと、生意気なようですが私は
感じておりました。
　三田佳子さんの表情の一つで何を語ろうとしているか分かるし、凄い演技力 だと思います。
それを見出した井沢先生も、また凄い脚本家の一人だと思います。
　３０年ぐらい前、私の友人のご主人もがんで亡くなりました。
その当時は病院でも、告知するなどは考えられないことでした。
友人のご主人は医学書である程度自分が、がんであることは察知したようです 。
何回か病院にお見舞いに参りましたが、いつもにこにこして周りの人に気を使 っているのが
手に取るように分かります。
私は友人にあなたのご主人は凄い方ねといいましたら、
ここまで来るまでには、かなりの葛藤があったのよと言いました。
ある夜、主治医に向かってご主人は「いま自分は子供を置いて、死ぬわけには いかないから
必ず助けてくれ」と号泣したそうです。
ある日お見舞いに行ったところ、「昨夜三途の川を何度も渡ろうとしている夢 を見て、
もう長くは生きられない」と、言われたので「そんなことを言わないで
お子さんのためにも頑張って下さい」と励ましました。
そのご主人は自分のために、周りの人達がどんなに迷惑を掛けてるかを、
むしろ私達に、後ろめたさを感じているようにとりました。
友人のご主人の心情を思い出し、告知を見ていて涙が流れました。
今後も外科医有森冴子の脚本を続けて書いてください。
サスペンス劇場のドラマも期待して待っております。